ダブルウォールグラスの保冷性評価
友人の結婚式の引出物としてBodumのダブルウォールグラスを頂き,かれこれ半年間ほど愛用している。
写真左がダブルウォールグラス。
普通のグラス(写真右)と違ってガラスが二重になっているので,
- 保冷性/保温性が高い(二重ガラスの間の空気の層が,断熱材の働きをするため)
- グラスの外側に水滴がつきにくい(=コースター不要)
- 液体が浮いているみたいで,見た目オシャレ
という長所がある。こいつに注ぐだけでちょっと贅沢感が出るので、晩酌でチビチビやりたい時などに活用している。
どの程度保冷性があるのか?
なんとなく氷が長持ちするような実感はあるのだが,具体的にどの程度保冷性があるのか知らなかったので,軽く検索してみた。しかし,Web上では,納得できる情報を得ることはできなかった。
私の場合,保冷したければまず氷を入れるので,
「氷が融けきるまでの時間が,普通のグラスよりもどのくらい長いのか」
を最も知りたかったのだが(氷さえ残っていれば,だいたい適温で飲めるから),そのような観点で整理されている情報は見つからなかった。
自分で測定してみた
Webでは情報が見つかりそうになかったので,自分で測定することにした。
調べたのは
「ダブルウォールのグラスで氷が融けきるまでの時間が,普通のグラス(以下では『シングルウォール』と呼ぶことにする)の場合よりも,どのくらい長いのか」
である。
《方法》
念のため途中経過も調べようと思い,以下の方法で進めた。
- 初めに,ダブルウォールとシングルウォールそれぞれ(各1個)に,氷75gと水50gを入れる。
- グラスを室温放置し,30分毎にザルを使って氷のみを回収し,氷の重さを量り記録する。測定後は氷と水を元のグラスに戻し,再び放置する。
- 氷が融けきるまでの時間を,ダブルウォールとシングルウォールとで比較する。
なお,比較用のシングルウォールには,飲み口の直径が,Bodumのダブルウォールとだいたい同じ約Φ80mmのものを用いた(ダブルウォール/シングルウォール以外の条件の違いを極力排除するため)。
氷の重さの測定には,マイプレシャス製のデジタルスケール(精度:±2g)を用いた。
測定結果(まずは写真で)
室温放置時間の経過に伴ってそれぞれのグラス内で氷が融けていく様子を,まずは写真で見ていく。
測定開始直後:それぞれのグラスに氷75gと水50gが注がれた状態
30分経過:氷は融け始めているが,まだ両者の違いはよくわからない
60分経過:氷がだいぶ小さくなる
90分経過:シングルウォールの方が融けが早いのがわかる
100分経過:シングルウォールの氷が融けきる
120分経過:ダブルウォールの氷はまだ残っている
150分経過:ダブルウォールの氷が融けきる
シングルウォールでは100分で氷が融けきったのに対して,ダブルウォールでは150分間も氷をキープできることがわかった!ダブルウォールの方が,1.5倍も長持ち!
室温放置時間と氷残存率との関係
100分,150分という1点データの比較だけで結論にするのは不安だったので,念のため,氷の融け具合の途中経過を確認した。
各時刻で量った氷の重さを,融ける前の(最初にグラスに注いだ時点での)氷の重さ75gで割ることで正規化した値を,氷残存率と定義した。
室温放置時間と氷残存率との関係を,下図に示す。
点が実測結果であり,直線は,(0,100)を通るように最小二乗法でフィッティングしたものである。
ダブルウォール,シングルウォール共に,放置時間の経過に伴って,ほぼ線形に氷が減っていることがわかる。
フィッティングカーブの傾きは,ダブルウォール,シングルウォールそれぞれ-0.65,-0.95だった。-0.95/(-0.65)=1.5(倍)である。
2種類のグラスの氷の減り方には比例関係があり,今回の条件では
「ダブルウォールグラスの方が,同等の大きさの飲み口のシングルウォールグラスと比較して,氷を約1.5倍長持ちさせることができる」
と結論付けて差し支え無さそうだ。すごいぜダブルウォールグラス!
グラス開口部において外気から水に伝わる単位時間当たりの熱量を1としたときに,ダブルウォール(断熱と仮定)のグラス壁面では吸熱は0なのに対して,シングルウォールの壁面では0.5分ぐらいの吸熱があることで,両者の保冷性に約1.5倍の違いが出るというイメージでしょうか。ものすごくザックリですが。
何をやっているんだろう
それにしても,終電で帰ってきて疲れていたというのに,私はこんな朝まで,いったい何が楽しくてテンションアゲアゲで氷とグラスで遊んだりしてたいたのだろう。
寝よう。
早く赤ちゃんがうちに来ないかな。